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コンプレッサーあれこれ<斜板式圧縮機>

カーエアコンなど多くのシーンで活用「斜板式圧縮機」

 

カーエアコンなどでおなじみの「斜板式圧縮機」は、振動数やトルク変数などの少なさが評価され、車両を中心に多くの場面で採用されています。今回の「コンプレッサーあれこれ」では、この斜板式圧縮機の種類や特徴、用途などについてご紹介します。

 

斜板式圧縮機とは

斜板式圧縮機には、斜板が両面のものと片側のものの2種類に分かれます。それぞれの構造によって異なる特徴があります。

 

固定容量型斜板式

エンジンからの動力によってシャフト、斜板が回転し、ピストンが往復運動する仕組みを持った「固定容量型斜板式」。シリンダー室が1本のピストン両隣に配置されており、吸引・圧縮・吐出がピストンの前後で行われます。

 

ピストンの移動(機器により方向は異なる)によって、ハウジング内の吸入室およびシリンダー内の圧力差が起こり、サクションバルブが開きます。これによって冷媒がシリンダー内に吸入されます。また、それとは逆方向にピストンが移動すると、サクションバルブが閉じて冷媒が圧縮されるという仕組みです。最終的には圧縮された冷媒の圧力によってディスチャージバルブが開かれ、冷媒(高圧配管にて圧縮済み)が外へと送り出されます。サクションバルブとディスチャージバルブは冷媒の逆流防止にも役立っています。

 

固定容量型は、信頼性が高くバランスも良い点が評価され、小型車やミニバン、大型バス、建機といった車に広く採用されており、世界中で導入事例が多数あるのも特徴です。

 

片側斜版式(可変容量型)

固定用量型斜板式との違いは、シリンダーが片側のみについている点です。冷媒の吸入・圧縮方法については、ほとんど変わりはありません。

 

コンプレッサー内部の圧力バランスをコントロールすることで斜板の角度が変わり、ピストンのストロークの大小に応じて冷房能力に合わせた出力を可能にします。エネルギーの無駄な消費を減らせることから、自動車の燃費向上に大きく役立ちます。また、冷房能力だけでなく、気温や速度といった自動車に関わる様々な運転環境に応じた容量制御ができるのもメリットです。なお、吐出容量の可変方法には「内部可変式」と「外部可変式」の2種類があります。

 

【内部可変式】

制御弁によって車室内の熱負荷に関わる冷媒ガスの吸引圧力が感知され、それに応じた容量をコンプレッサーが最適な値に制御。スムーズな運転と快適な車室内温度が実現できます。

 

【外部可変式】

コンプレッサー制御弁に対し、外部から電気信号を送ることでコンプレッサーの最適な容量の制御を行います。細かい任意制御が可能となり、高い省力化が実現できます。

 

斜板式圧縮機の特徴

斜板式圧縮機は構造に関係なく、軽量でコンパクトな点が評価されています。また、往復部品の小ささや、圧縮時のトルク変動が少ない点も、振動・騒音の抑制に役立っています。その他、前述のとおり、吐出量の増減が斜板の角度の可変および回転数によって調整できるのもメリットと言えるでしょう。

 

カーエアコンを中心に活用される斜板式圧縮機

斜板式圧縮機の主な用途はカーエアコン。また、車に限らず幅広いエアコンに採用されており、斜板式の出現によってピストン式の列型コンプレッサーが姿を消した、という経緯もあります。その他、建築機械や除雪車、農業機械のコンバイン、トラクターといった低速な車両に使われる静油圧式無段変速機(トランスミッション)に採用されるケースもあります。

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